2006年06月12日

催眠術とは?

催眠術の歴史

催眠術は、明治初期頃日本に移入してきたとされ、その間、何度もブームを巻き起こしつつ現代にいたっている。

しかし、「催眠術」という語がかもしだすいかがわしさ、うさんくささは、「ジュツ」という響きの中に凝縮されているように思う。催眠術師も魔術師も妖術師も、どうも同じジャンルの存在に思われる響きがある。

そこで現在、心理学系の分野では、「ジュツ」を取って「催眠」「催眠法」という語を使用している。

ここで「催眠」は、科学の研究たり得るのか、それともオカルティックな「秘術」の類なのか、“フランツ・アントン・メスメル”に始まる近代催眠術の歴史は、この両極の間をさまよってきた。メスメルがパリで催眠療法を始めたのは1778年のことである。

メスメルの理論の中心は、「動物磁気説」である。宇宙には目に見えない流体「動物磁気」がすみずみまで浸透しており、病気とはこの流体の滞りによって生じることで、大量の動物磁気を保有している人間が、病人にそれを分けてあげれば、病気は治癒するという説である。こうして彼が、あくまでも科学として提示した理論体系を、「メスメリズム」と称されるようになった。メスメリズムこそまさしく「気功療法」であり、催眠と気功のつながりが出てくる。

その後、メスメルの弟子である“ピュイゼギュール”という人物が、動物磁気催眠という技法を発見し、いろいろな実験やテストをすることにより、メスメリズムは急速に心霊的世界に接近していった。被験者の一部は、自分の病気を治しただけではなく、まったく医学的知識を持っていないにもかかわらず、他人の病気をも診断し、最も効果的な治療法を指示した。また、列席者(新聞記者)の財布の中身を、コインの種類からその数までぴたりと当てたという。また、未来のできごとを予見したり、密閉された箱の内部の物体を見たりと、その他さまざまな超常現象の実験をしたとされている。このとき、メスメリストたちは、動物磁気催眠が引き起こす多種多様な超常現象こそ、科学を越えた「超科学」であると唱えた。しかしこのような不可思議な、科学的に証明されないものは、世に受け入れられないのが昔も今も常である。

かくしてメスメリズムは、フランス革命以後、“催眠”の原点である“メスメリズム”からはなれ、「超科学」という不可思議な思想を形づくっていった。時は1778年から1780年頃のことである。

このような、ある意味でオカルティックな催眠実験を主体にした“メスメリズム”に対して、催眠現象は大脳内部の生理学的な作用であるとして、「ヒプノティズム」と命名したのがイギリスの外科医“ジェイムス・ブレイド”である。

彼によって近代科学の領域に引き寄せられた催眠術研究は、1880年代にいたって、さらに“フロイト”等の研究によって精神分析の内部に取り込まれ、心理学の一分野として認められるようになり、フランスを中心に最盛期を迎えるようになった。

したがって現在も、和英辞典によって「催眠術」と引用すると、“メスメリズム’“ヒプノティズム”と二つの言葉が出てくる。しかし、現在はほとんどヒプノティズムで統一されているようである。

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